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取扱説明

取扱説明

磁石のご使用にあたっては、下記の注意警告事項を十分に留意され、安全にお使い下さい。ご使用方法を間違えると、機能を損なうだけでなく、思わぬ事故を招く恐れがあります。本製品を使用する前に、必ず「取扱説明書」及び「納入仕様書」をお読みください。

危険

  1. 電子医療機器・MRIなどに磁石を近づけると、医療機器が帯磁し、正常な作動を損い、生命に危険を及ぼす事故不具合が発生する可能性があります。植込型補助人工心臓や、人工関節、金属インプラントなど、これらの医療機器を体内に植込んだ方は、必ず医師や医療技術者の指示に従って、磁石をご使用お取扱い下さい。
  2. 磁石を誤って飲み込まないよう注意して下さい。万一誤飲した場合は、直ちに救急医師にご相談下さい。磁石を複数個誤飲した場合は、摘出に開腹手術が必要となる恐れがあります。監督を必要とする方や、お子様の手の届くところには、絶対に磁石を置かないで下さい。
  3. 希土類磁石は微粒子の場合、酸化性の発火合金材料に部類します。これらは摩擦衝撃で発熱膨張し、静電気などで引火、自然発火する危険性があります。自身で希土類磁石を切削加工する場合は、切子切削粉が発生し、これらが発火する恐れがあります。これらの加工場には、必ず消火剤や消火装置等を備え、周囲の環境に可燃物や引火性のある材料を置かないで下さい。

警告

  1. 磁石と磁性物質との間に手を挟まれないようご注意下さい。大型の磁石に挟まれた場合、指や腕などに重傷な怪我を負い、肢体が損傷壊死する恐れがあります。大型磁石は想定以上に吸引する場合があり、慎重に取扱いください。万一大型磁石に挟まれた場合は、緊急救助隊員であっても、容易に離すことはできません。大型磁石を取扱う場合は、必ず治具保護具を用い、万全な防備対策の下で実施してください。大型磁石を組立設置する場合は、必ず磁石専門技術者、或いは安全管理責任者の下、複数人で行って下さい。
  2. 磁石はあらゆる磁性物質を引き寄せ、吸着します。磁石近辺に刃物工具など、鉄を含有した物質を防備なく、安易に置かないで下さい。これらが不用意に吸引し、事故損傷を招く恐れがあります。
  3. 磁石は欠け易い為、落下衝突により、角などが容易に破損します。衝撃により磁石の破片が飛散し、目に入ったり怪我をする恐れがあります。磁石を取扱いの際は、必要に応じ保護メガネ、顔面保護具を着用して下さい。
  4. 磁石の成分が水に溶け出す場合がありますので、磁石に触れた水は絶対に飲まないで下さい。

注意

  1. 磁石は鉄含有物資に、強力に吸引します。磁石と磁性体の間に手を挟まないよう、十分に注意し取扱い下さい。
  2. 磁石を複数取扱う場合、同極同士が反発します。NS極性を確認の上、不意に反発し事故を招かないよう取扱いにご注意下さい。
  3. 焼結磁石は硬質な故、容易な衝撃で、割れや欠けや亀裂が発生します。取扱いに注意して下さい。
  4. 磁石に割れ欠けや亀裂、強い衝撃が加わった場合、磁気特性が劣化減磁する恐れがあります。
  5. 面取されていない磁石の場合、エッジがシャープな為、手指など切傷怪我をする恐れがあります。
  6. 金属アレルギー体質の方は、磁石に触れると皮膚が荒れたり、赤くなったりする場合があります。過敏反応が起こった場合は、ご使用をお控え下さい。

設計

  1. 製品カタログ・納品仕様書に記載の特性値は、設計上の規格値であり、使用時の保証値ではありません。磁石は使用温度環境や寸法形状に依り、カタログ通りの磁気特性値が得られない場合があります。量産や実機に搭載する前に、特性値を満たすか、試作サンプル試料などでご確認下さい。
  2. お客様で磁石の磁化(着磁)をされる場合、材質及び保磁力に応じ、十分に飽和する磁界を与えて下さい。磁界の強さが不十分な場合、設計通りの磁気特性が得られないことがあります。磁化に必要な磁界の大きさについては弊社にご相談下さい。
  3. 磁石の種類や磁気回路によっては、組立後の着磁が困難な場合があります。一般的に保磁力の大きいものほど組込着磁は困難となります。
  4. お客様で、切断または分割など加工する場合、磁石特性の劣化、着磁不良などが生じることがあります。加工条件については弊社にご相談下さい。尚、お客様の二次加工で生じる割れ欠けに対しては、保証致し兼ねます。
  5. 磁石の材質の多くは、硬く脆い性質を持っています。自動車など振動が加わるような用途に使用される場合は、ヨークに接着するなど耐震性を維持すると共に、万一割れても脱落することのないように設計に留意下さい。
  6. 磁石と磁石、ヨーク、ポールピースなどとの接合に接着剤を使用する際には、接着剤の種類、量、条件、強度などを十分検討し、信頼性をご確認下さい。
  7. モーターなど高速回転体で、磁石が破壊される場合があります。設計に当たっては、万一破壊しても破片が飛散しないような措置を講じて下さい。
  8. 圧入、焼き嵌めなどの加工をする場合、磁石の特性が劣化したり、磁石や相手材が割れるなどの恐れがあります。必ず事前にサンプルで確認して下さい。
  9. 漏洩磁束は他の機器に影響を及ぼす場合がありますので、出来るだけ漏洩の少なくなるような磁気回路を設計して下さい。
  10. 次のような環境での使用、保管は避けて下さい。磁石の腐食や、特性及び強度劣化を引き起こします。各磁石の材質や雰囲気によって、耐候性が異なる為、予め適した耐性防錆処理方法をご相談下さい。
    1. 1)腐食性ガス雰囲気(Cℓ₂ ・ NH₃ ・ SOX ・ NOX など)
    2. 2)導電性の高い環境(電解質を含む水中など)
    3. 3)水素雰囲気中
    4. 4)酸性、アルカリ性、有機溶剤など
    5. 5)水中、油中
    6. 6)高湿度環境

組立

  1. 大型磁石は磁石同士または鉄片など、磁性体との間に非常に強い吸引力(または磁石間の反発力)が生じます。運搬や組立の際に手などを挟まれたり、吸引力や反発力で身体のバランスを崩し、思わぬ怪我をすることがあります。適切な治具保護具を使用するなど、磁石の取扱いには十分注意して下さい。
  2. 異方性磁石では磁化方向により、磁気特性が大きく異なります。設計に当たっては、磁化方向にご注意下さい。ご自身で着磁する際に、間違った磁化方向で着磁した場合は、着磁不良により磁気特性が飽和せず、狙値を満たすことが出来きません。
  3. 空芯コイルを用いて、ご自身で着磁をする場合は、磁石をコイルの中心部に置き、固定して着磁して下さい。磁石の磁化方向を間違えたり、コイルの中心に設置しなかった場合は、磁石がコイルから急激に飛び出し、強い衝撃が伴い、着磁コイルと磁石が破損する恐れがあります。保護具を着用の上、着磁作業を行って下さい。
  4. 磁化された磁石を重ねた場合は、磁石が離れにくくなったり、欠けたりする恐れがあります。その際は、磁石間に厚紙・樹脂など、非磁性の物質をスペーサーとして挟み込んで下さい。
  5. 切出用磁石を加工する際に、切粉が自然発火する恐れがあります。切粉について下記事項に留意して下さい。
    1. 1)火気及び可燃物は絶対に近づけないで下さい。
    2. 2)電気掃除機は使用しないで下さい。
    3. 3)発火した場合に備え、粉末消火器、砂などを用意して下さい。
  6. 着磁された磁石を切削加工すると、磁化された切粉が飛散し、加工機が帯磁し支障をきたします。磁石を切削加工する場合は、未着磁の状態で加工して下さい。
  7. 磁石の材質種類により、防錆や保護目的で表面処理コーティング(メッキ・塗装)が施されています。ネオジム磁石の場合、吸着などの外部衝撃で表面処理が剥離した場合、経年で容易に錆が発生します。磁石に衝撃が加わった場合は、メッキや塗装が剥がれていないことを確認し、ご使用下さい。またメッキや塗装が剥離亀裂したものは、使用しないで下さい。
  8. 着磁された磁石に強い衝撃を加えたり、磁石同士を無暗に反発させたりしないで下さい。保磁力やパーミアンス係数が低い磁石の場合、磁区組成が乱れ、減磁することがあります。
  9. 着磁された磁石を交流・直流磁界に近づけると、減磁することがあります。
  10. 着磁された磁石は、周辺の砂鉄や鉄粉など、容易に吸着します。外装梱包ケースから取り出す際は、塵埃のない雰囲気環境で行って下さい。
  11. 磁石は、着磁されていない磁石でも微小な磁性体が付着する場合がありますので、取扱いに注意して下さい。また、精密モーターに使用する場合は、組み付け後洗浄してから使用して下さい。
  12. 磁石はそれぞれの材質に特有のキューリー温度があります。キューリー温度近くに加熱すると不可逆減磁し、磁化を失います。組立などで加熱せざるを得ない場合は、耐熱工作温度をご確認下さい。
  13. ヨークなどに接着する場合は、接着後に機械的な歪が残らぬような接着剤、及び接着方法を選んで下さい。残留応力が掛ったまま使用すると、僅かな衝撃で磁石が割れることがあります。

材質別注意

希土類磁石(ネオジム・サマリウムコバルト)
  1. ネオジム系やサマリウムコバルト系などの希土類磁石は、湿度と経年に依り酸化します。特に焼結ネオジム磁石は容易に錆びる為、金属メッキやエポキシ樹脂など、使用環境に適した表面処理コーティングをお選び下さい。サマリウムコバルト磁石は腐食し難いですが、酸化し表面が変色する場合があります。
  2. サマリウムコバルト磁石は、非常に脆く欠け易い為、お取扱いの際は慎重に管理設置して下さい。
  3. 希土類磁石の合金粉末は、消防法で第二類(可燃性固体)第一種の危険物に指定されています。磁石使用中の摩擦に依り生じる微粉末は、発火及び着火の危険性があります。磁石粉末が多発する恐れのある使用方や加工は、行わないで下さい。
  4. 希土類磁石の微粉は、自然発火する危険性があります。お客様で加工する場合、切粉や研削粉は放置せず、必ず水を張った入れ物に保管して下さい。また万一の発火に備え、砂や消火剤を用意し、ご使用ください。発火した場合、砂を被せ、速やかに可燃物を遠ざけて下さい。
  5. ネオジム系は、温度環境に依存し、磁気特性が容易に変化致します。高温環境では容易に高温減磁し、耐熱工作温度を超えると、不可逆減磁致します。高温環境下でご使用の際は、耐熱性を十分にご注意下さい。
  6. 液体窒素温度(-195℃)付近の極寒環境などでは、磁気特性が低温減磁します。
フェライト磁石
  1. 異方性フェライト磁石など、材質に依り低温で不可逆に減磁するものがあります。ご使用になる温度の適性を、必ずご確認下さい。
  2. フェライト磁石は電装用などに多用されていますが、割れ易い材質の為、十分な衝撃に耐えうる対策を行って下さい。
プラスチック・ボンド磁石
  1. ボンド磁石をある温度以上に加熱すると、減磁、特性劣化、軟化、変形するものがありますので、注意が必要です。使用可能温度については、弊社にご相談下さい。
  2. ボンド磁石は、高温だけでなく温度を下げた場合でも、脆化減少によって機械的強度が低下することがあります。使用温度を参照し、設計を行って下さい。
  3. ボンド磁石は、一般の磁石に比べて軟性があり硬度が弱く、落下衝撃等で変形する可能性があります。お取扱いにご注意下さい。
  4. 結合剤バインダー、接着剤、塗装などに含有する有機物によって、腐食性ガスが発生する場合があります。これらを磁石に使用する場合は、事前に弊社にご相談の上、適切な材料を選択して下さい。
  5. 希土類系ボンド磁石は錆び易い金属粉末を使用していますので、適切な表面処理(メッキや塗装など)が必要な場合があります。ご使用に当たっては予め弊社にご相談下さい。
  6. ボンド磁石は、使用しているバインダーの種類によっては、吸湿や有機溶剤による膨潤現象によって、寸法変化や機械的強度の低下を起すことがあります。予め弊社にご相談下さい。
  7. ボンド磁石を空芯コイルを用いて着磁、または脱磁をする場合は、着磁条件によって磁石が加熱することがあります。着磁後間もない磁石を触ると、火傷する恐れがあります。磁石の取扱いにご注意下さい。
  8. ボンド磁石は製造条件により、磁性粉末が脱落する場合があり、HDDなどの用途において深刻な損害を与える可能性があります。防錆上の必要はなくても、これらに使用する場合は、表面処理が施されたものをご使用下さい。
  9. ボンド磁石をヨークなどに接着加工する場合、樹脂の種類や接着面の状況により、目的の接着強度が得られない場合があります。実際にご使用になる接着剤で、必ず接着性を事前にご確認下さい。

保管

  1. 磁石は欠け易い材質が多い為、衝撃振動が加わることのない、静置な場所に保管して下さい。
  2. 結露や錆の発生を防ぐ為、雨水や水気の掛からぬよう、湿度の低い常温環境で保管してください。
  3. 着磁されている磁石には、工具鉄などの磁性物質を強力に引き寄せ、思わぬ事故を招く恐れがあります。これらの付近に磁石を保管する場合は、必要に応じ磁性物質マーク、又は着磁されている事などを明示し、木箱などの非磁性材料や緩衝材で、保護梱包をして下さい。
  4. 磁石を、磁気記録媒体などに近づけると、記録が消失破壊する恐れがあります。磁石を、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気カード、磁気テープ、切符、電子キーなどに近づけないで下さい。磁石をこれらと共に保管しないよう、ご注意下さい。磁気が放出漏洩した状態で、磁石をポケットや鞄、財布付近に仕舞わないよう、ご注意下さい。
  5. 時計、羅針盤、精密計器、ブラウン管、電子機械などに近づけると、これらの機器が帯磁し、故障や事故、誤作動に繋がる恐れがあります。
  6. 磁石を配送運搬する際は、磁気漏洩なきよう梱包保護し、運送してください。航空貨物に搭載、又は機内に持ち込む場合は、IATA(国際航空運送協会)の国際規格に従って梱包してください。規格外の場合、航空計器に影響を与える恐れがある為、機内への持込や搭載をすることができません。
警告表示の意味

取扱説明書或いは製品に、次のような表示をしています。表示の危険度をよく理解してから、本文をお読み下さい。

この表示の注意事項を守らないと、死亡や重篤な怪我など、人身事故が生じます。

この表示の注意事項を守らないと、死亡や重傷な怪我など、人身事故が生じる可能性があります。

この表示の注意事項を守らないと、軽傷な怪我など、周辺の物品に損害が生じる可能性があります。