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焼結フェライト磁石
焼結フェライト磁石

焼結フェライト磁石とは

フェライトマグネットは、Fe2O3酸化第2鉄とBaCO3炭酸バリウム、またはSrCO3炭酸ストロンチウムを主原料とし、粉末冶金法により製造されるコストパフォーマンスの優れたマグネットです。無磁場にてプレス成形をする等方性材と、磁界中でプレス成形し、磁気的に方向性を持たせて優れた特性が得られる異方性材 (乾式及び湿式)があり、それぞれ長所短所など、固有の特徴があります。これらの磁気特性を数値によって示し、規格された材質が等級で分けられています。フェライトマグネットの特長である高い保磁力により、外部磁界や自己減磁作用の影響を受けにくく、偏平形状や複雑形状にも充分対応でき、あらゆる用途のご要望に応ずることができます。尚、形状や寸法により上記特性は幾分変わる場合があり、用いる規格材質等級は、使用環境、用途目的によって、選定設計する必要があります。

異方性と等方性

異方性フェライトマグネットは、本質的には等方性フェライトマグネットと差異はなく、プレス成形中に外部磁界を加えることにより、結晶容易磁化軸を整列させたもので、等方性に比べて著しく磁気特性が改善されます。又、さらに高磁束密度を必要とする場合には、泥状微粉末を磁場中でゆっくりプレス成形した湿式異方性フェライトマグネットの使用が最適です。各用途に応じた材質選定について、あらかじめ打合せの上ご用命ください。

  • 乾式異方性成型機

減磁特性

磁束の温度係数は-0.18から-0.19%/℃と比較的大きな値となります。また異方性材料では温度が低下すると、保磁力も+0.35から+0.5%/℃の割合で減少しますので、低温減磁の問題に注意しなければなりません。この問題を避けるためには、マグネットの動作点を、低温における減磁曲線の交点以上で、設計する必要があります。

  • BH-アナライザ

極異方性フェライト磁石とは

極異方性の磁石は、プリンター、ファックスなどのOA事務機器や、工業用ミシンやプロッターなど、産業機器のステッピングモーターとして、数多く使われています。従来の等方性リングマグネットや、ラジアル異方性マグネットでは実現できなかった、低コストで、高性能なステッピングモーター用の磁石として、開発致しました。モーターの高性能と小型化へ向けて、更に充実した設計が可能となります。

  • 分派波形測定機

インサート成型

東京フェライト独自の特殊な製造方法により、従来の等方性フェライトマグネットに比べ、最大約1.8倍の高特性が得られます。それぞれの磁極に応じて局部的に異方性化しているため、焼成時における歪みが少なく、強度的にもすぐれます。従来のマグネット同様にシャフトとのインサート成形が可能です。

ラジアル異方性磁石

ラジアル異方性磁石は、磁化方向を内外径、放射状に着磁された、多極着磁磁石です。高性能小型モーターや、電装パワーモーター用として、またトルク伝達用カップリングマグネット等の音響機器をはじめ、事務機器や各種産業機器に至るまで、幅広い分野と用途に用いられています。

磁化容易軸

ラジアル異方性フェライト磁石は、磁化容易軸(C軸)方向が、均等にラジアル放射状に磁場配向された高性能のマグネットです。マグネットの焼成過程における体積収縮率は30%を超え、この時フェライト結晶のA軸方向とC軸方向との収縮率に差が生じ、焼成に歪みが発生致します。

TH-RC

TH-RCは、この焼成歪みによる破断部を十分接着した後、研磨加工して仕上げます。破断部の接着剤は、通常エポキシ樹脂接着剤を使用し、広範囲な温度での使用が可能です。動的荷重に対しても良好な耐性を持ち、接着部強度は、他のリングマグネットと殆ど差がありません。電装モーターや各種パワーモーターのロータマグネット等、広範囲に安心してご使用頂けます。

TH-RN

TH-RNは、独自の製法技術により、A軸とC軸との収縮率の差による焼成歪みを緩和させ、破断部が出ないように改善する事も可能です。共に強度的にも優れ、磁化方向の肉厚が比較的薄い形状に適しています。マグネットの設計の際は、予めご相談ください。

磁石はどのように作られる?

フェライト磁石はセラミックス( 焼き物) の一種で、常温でプレス成形してから1,200℃の高温で焼き固め、最後に少し削って寸法を整えます。工場では効率良く生産手順を組み合わせて、連続生産しています。ひとつの磁石の中にたくさんの磁極が入った多極磁石の製造はノウハウの塊です。創業から60 年を経て、私達が蓄積した技術で「難しい磁石」に日々チャレンジしています。プレス成形の段階で原料粉に磁場をかけ、結晶の方向を揃えると磁気特性の良い磁石になります。プレス金型の中にどのようなコイルを配置するのかも、社員が設計します。工場では古い機械を大切に使い、必要があれば部品を自分達で作って動かします。新しい電気炉や検査装置が必要になれば、設計し、部材を調達して手作りします。中小企業ならではの知恵と工夫がたくさんあります。

2019年2月に社員の力で完成させた電気炉の完成記念写真です

磁石の用途紹介

自動車の動力シャフト、ペダルやドア、家電製品の可動部などがどのような状態になっているか、磁石を使ったセンサーが感知します。回転軸がどの角度にあるか、ドアが正確に閉まっているのか、といったことはセンサーで検出します。多くの位置検出センサーには小さな磁石と磁気検出素子が入っています。エンジンがスムーズに起動して正確な点火タイミングで動作したり、半ドアを警告したりするのには不可欠な装置です。近年では磁気検出素子の感度が向上し、当社の作る焼結磁石がたくさん使われるようになってきました。有名なドイツの車のエンジンに使われているカムシャフトセンサーにも当社の磁石が入っています。断面はちょっと複雑ですね。エンジンのように温度が高い環境でも磁力が落ちないフェライト磁石の特性が充分に生かされています。

カムシャフトセンサーの断面

磁気特性/物理・機械特性一覧